きものの着付で大切なのは、楽であること、着くずれないこと、そして美しくあればなお良い、ということです。きものは元々、自分で着ていたものですが、現在はきものを自分で着ている人が珍しく思えるほど、自分できものを着られる人は少なくなってしまいました。
今では、きものを着付けることは、一つの技術になっています。きものを着付ける際には、まず「何故きものを着るのか?」「何のためにきものを着るのか?」を考える必要があります。目的があってきものを着るわけですから、着る人がきものを着て、良い状態であること、きものを着ていることで困らないようにしてあげることが一番大切なのです。
きものは、前を合わせて紐で結び、帯を廻して結び仕上げていきます。見た目に美しさを求めると、そこに着付の技術が必要となってきます。ただ「美しい」だけでなく、「楽」で「着くずれない」ためには、加減が重要で、自分で着るのではなく人に着せるわけですから、加減を知るには、着る人に心を合わせなくてはなりません。心を合わせ、衣を合わせていくのです。きものの衿を合わせることは、衿を引くことではありません。強く引くのではなく、押さえるのです。何度もこすらないこと。本当に必要な所のみを押さえ、そこを止める。そのような気持ちで着付けていきます。
そして、着付の技術を学び、きものに触れながら、一本の糸が一枚の布となり、きものの形となること、その過程では、たくさんの人の手が加えられていることを知り、きものを大切に扱う心も学んで欲しいと思います。着付を学ばれる皆さんが、心からきものを好きになり、学ぶことを楽しめるようになることを願っております。
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