ギリシャからのメッセージ

PERFORMANCE STAGE
ギリシャからのメッセージ
[Peace On Earth]
〜特殊メイクを勉強した学生達のステージ〜
技術指導 / 清水 悌  先生
演出指導 / I・クリス 先生

勇者の願い[不測の事態]


不測の事態が起こります。広がった戦場に子供達が迷い込みます。勇者達は背筋の凍る思いをします。それに反して心臓はドクドクと激しい音をたて張り裂けそうになります。思考が回復し再び時が刻みはじめると場が急展開します。

子供達は戦乱の中を逃げ惑います。勇者達の優先すべき事が変わりました。戦いの手を緩めず子供達の守りに入ります。モンスター達はこの事態を変化とは捉えていません。放たれた兵器の行動に理性も本能もありません。ただ全てを破壊するのみです。


勇者の願い[戦争に巻き込まれた子供達]


勇者達は子供達を守る為に、モンスター達を近づけないように注意を払います。戦況が不利になりますが、子供達を四方から固め外敵から防御します。子供達を中心にクルクルと周り油断なく隙間を埋めます。

モンスター達はジワリジワリと輪に詰め寄ります。勇者達は危険を察知しモンスター達を攻撃しますが、寸でのところで交されてしまいます。子供達はその場から動けなくなり、守りの壁が無くなりました。


勇者の願い[迫る恐怖]


勇者達はモンスター達の攻撃で子供達に近づけず切迫した面持ちになります。モンスター達は狙いを勇者から子供達へと向けます。子供達に恐怖が迫ります。トドメを刺そうと近づいてきました。子供達は強い緊張から目をつむり息を飲みます。

ヘラクレスが咄嗟に子供達とモンスター達の間に割り込んできました。普段は冷静な勇者ですが、使命を果たす為に本能的に体が動きます。しかし振りおろした剣は空を切り、三匹のモンスターから反撃に合います。ヘラクレスは三方向から体をクシ刺しにされてしまいました。他の勇者達は体を貫かれたヘラクレスに手をさしのべます。


勇者の願い[ヘラクレスの勇気]


手遅れでした。他の勇者達は思いがけない展開に対応できず呆然とします。それはヘラクレス自身もそうでした。そして鈍い痛みと共に精気を失いはじめている自分に気づきます。モンスター達は追い打ちをかけるようにヘラクレスをザクリと切り裂きます。

子供達は何が起こったのか分りません。辺りが急に静かになったので、事を知ろうと振り返ります。そこには痛みに耐えながらも毅然(きぜん)と立ちつくすヘラクレスがいます。子供達に「もう大丈夫」と言葉をかけようと試みますが声が出せません。片足から崩れ落ち、全ての力を失いました。

子供達は受入れ難い現実を直視してしまいヘラクレスから離れてしまいます。他の勇者達も身動きができません。全てがスローモーションのように過ぎ去っていきます。


勇者の願い[過ちに気づいた権力者達]


モンスター達の攻撃は止み、煌(きら)めいていた勇気の光がフッと消えてしまいます。勇者達は我に返りヘラクレスに駆け寄ります。しかしあまりの悲しみに触れる事ができません。従者達も子供達を守ったヘラクレスに近づきます。愚かだった行為を強く反省します。

子供達は理解できない光景から目が離せません。後戻りが出来ない現実にどう感情表現をすればいいのか分りません。ケンタウロスはヘラクレスの剣を掴みとり、己の力不足に顔を歪(ゆが)ませます。ヘラクレスは剣で子供達の未来を守りました。しかし剣(武器)がある事で戦いが始まり悲しみを生みだしました。語ることなく静かに剣を見つめます。


勇者の願い[命の重さ]


従者達はヘラクレスを優しく支え持ち上げます。暗闇に迷わせる事なく光の元へ返す為です。勇者達はヘラクレスが築いた未来をジッと見守ります。しかしそこにはヘラクレスの未来がありません。

ケンタウロスは仲間を失った悲しみに耐えきれず力を落します。そして子供達は命の重さを実感しはじめました。人を守る為に戦った姿から、起こった悲劇から真実が見え始めます。


勇者の願い[静寂]


戦いが終わりを告げました。辺りに言いようのない静寂が訪れます。従者達は虚しさに肩を落とし、事情を知った権力者達は争いの過(あやま)ちに気づきます。もう誰も睨みつける事はなくなりました。この戦いに勝者はいません。勇者達は失意から天空を見上げます。

子供達は未来への絶望を予感します。それはこれから権力者達の力が及ばなくなる報(むく)いになります。また人は人を見て育ちます。自分達が大人になった時に同じ「過ちを繰り返すかもしれない」と思い始めます。

怒りの消えたゼウスと、深く悲しむヘラが子供達の前に姿を現します。ゼウスとヘラは子供達を抱きかかえます。子供達はその瞬間、[子を失った]ヘラクレスの尽力を思い出します。子供達は戦争の過ちを学びましたが、命をかけて守りぬいた勇気も学びました。「過ちは繰り返さない」。


第四幕

平和への道[子供心]


子供達は「絶望の影」と「希望の光」から未来を作るのは自分の行い次第だと悟ります。自分の為ではなく、お互いの為、全ての国の平和の為に、助け合う事が大切だと心に誓います。失望から我に返ります。また子供達は大人達の助けも必要としています。自分達の力の範囲で出きる事をやろうと勇気を奮い立たせます。

鐘の音が広く鳴り響きます。レクイエム(鎮魂歌)が、子供達の歌へと変わり始めます。子供心を失った大人たちへのメッセージであり問いかけです。星の光が地上を優しく照らします。大人達は心を沈め耳を澄ませます。今までは届かなかった声なき声が聞こえはじめます。


平和への道[思い出した記憶]


子供達の小さな叫びが、大人達の心へ染み込んでいきます。肩を落していた大人達が立ち上がりはじめました。子供達の言葉の意味を考えます。そして忘れていた事を思いだし始めました。

沈黙していた大人達が、一人また一人と子供達の目線に立ち、歌を唄いはじめます。子供達の背を見て、少しずつですが失っていたものを取り戻しはじめます。互いに歩調を合わせる事の大切さ、未来への希望、人の幸せをです。


平和への道[目指すべき未来]


BOY's HEART
作詞・作曲:藤井フミヤ

なぜ、なぜ、心が痛むと涙になる
なぜ、なぜ、涙が落ちるとひとりになる
小さな膝抱え、遠くをまた見上げる
広い広いこの空より、もっと広いはずだ
高い高いあの雲より、もっと高いはずだ
君の心も

なぜ、なぜ、心を開くと笑顔になる
なぜ、なぜ、笑顔を見てると勇気になる
大きな夢抱え、遠くをまた見上げる
広い広いこの空より、もっと広いはずだ
高い高いあの雲より、もっと高いはずだ
遠い遠いあの星より、もっと遠いはずだ
行こう行こう両手広げ、きっと行けるはずだ
君も心も


平和への道[星に願いを]


みんなは空を仰ぎます。ゼウスは精霊達に四人の魂(信念)を天に刻むように促します。空にこれから永遠に輝き続ける星座が浮かびます。勇者の願いを忘れないようにする為です。ゼウスは星座を指し「共に手をとり助け合え」と一同を諭します。

解説:人は欲求(理性と本能)を捨てる事ができません。それを得たり吐いたりするのは生きる力だからです。しかしその力を戦争で使うのは誤りです。一生涯では済まされない不幸を背負う事になります。ギリシアの人は一つの解決策として「競技する場」を提案しました。それが現在に至るオリンピックです。ゼウスの神殿があったオリンピアに、ちなんだ名前です。


平和への道[君も心も]


星が強く輝きます。10の国々の権力者達は共に手を取り合い、二人で一つの輪を作ります。本来は五大陸を意味する五輪ですが、それが融和するように重なり合います。凛とした面持ちで微笑む四人の勇者達。

その時、地球にささやかな光が戻ります。もっと大きく、もっと青く、もっと透き通るように地球を輝かせるために、私達は何をすれば良いのか、共に考えてゆかなければなりません。


Concept by Peace On Earth Team.
supplement by izumi.